我々は変化の最先端で勝負することを誓います

”裸足の美学からの脱却”

ダントツの舞台裏
プロモーション代表 菅原泰男コラム

2) 超一流と一流の違い、これぞ人生の分れ目だ

全力疾走でアウトプットを出すタイプと 最短距離思考でアウトプットを出すタイプ

先日、当社主催のセミナーに参加した大手企業20社の経営者や人事担当役員にアンケートを実施しました。

まず「理想とするビジネス人財像が明確になっている」と答えたのは全体の3割足らず。反対に「明確になっていない」「悩んでいる」と答えたのは合わせて6割以上にもなりました。

そして、「組織戦力を考慮した効果的な配置・配属ができている」と答えたのは、なんと1割弱。人財の有効な活用について頭を悩ませている企業の実態が明らかになりました。

母数は多くはありませんが、回答したのはグローバルに勝ち上がっている錚々たる企業のトップばかりです。そんな日本を代表する企業でさえ、組織を強化するための人財の獲得や育成、配置、配属に悩んでいるという結果に、私は驚きました。

4つのタイプは実際のビジネスではどう行動するか?

こうした悩みの主な要因は、「人財の基軸」が各社でぶれているからだと思います。第1回目では、私の考える人財マトリックスを紹介しましたが、今回もまずはこれをもう一度おさらいしましょう。繰り返しになる部分はありますが、ダントツの基軸を明確にすることで、この共通の悩みはある程度、解決できるはずです。

I型 最短距離思考で、アウトプットを出すタイプ II型 全力疾走で、アウトプットを出すタイプ III型 最短距離思考だが、アウトプットは出ないタイプ IV型 全力疾走だが、アウトプットが出ないタイプ

人財マトリックス

そこで今回は、この4つのタイプのビジネスにおける特徴について、さらに詳しく解説していきます。ここでは、

(1)自分やメンバーなどのタイプやポジションの再認識 (2)自分が将来進むべき方向性の確認 (3)部下を指導すべき方向性の確認

を頭に置いて読んでください。特にI型とII型の違いをしっかり把握し、明確にイメージできるようにしてください。

では、4つのタイプの特徴を順に述べていきます。

I型=「リーダータイプ」の特徴

I型は、新規事業や大型商談に向いています。最短、最良の方法を白紙から考え、桁外れのアウトプットを出す可能性が高いタイプです。また原理原則で物事を判断し、本質を見抜く力に優れていて、将来の有望企業と無名なうちにアライアンスを組んだり、新たなビジネスのシーズを発見したりするのも、このタイプの特徴です。

こうした希有な存在であるはずのI型も、II型を中心とした企業では異端児扱いされます。たしかにI型は標準化しにくい特殊なやり方をしているケースが多く、またそうしたノウハウを自らあまりオープンにはしません。このため、周囲は「あいつは特別だ」「あいつのまねはできない」などと揶揄し、ほったらかしにしてしまうのです。

「会社のため、組織のため」という気持ちが強いI型も、あまり野放しにされると、「誰も分かってくれないなら、自分の数字だけやっておけばいいか」と自己流に動き出し、企業としてはビジネスチャンスを逃してしまい、またせっかく身近にあるお手本に気がつかないまま、素通りしてしまう可能性があります。

I型の活用方法

I型を一匹狼にするか、ビジネスリーダーとして起用するかでは、企業の生産性に大きな差を生みます。会社としてやるべきは、I型が密かに持つ知恵やノウハウなどの暗黙知を形式知化して、全社に水平展開することです。個人のパフォーマンスから組織のパフォーマンスへと発展させなければ、宝の持ち腐れです。

一番効果を出しやすいのは、彼ら自身に教育や人財採用などを任せてしまい、自分の考えやスタイルを自己分析させ、棚卸しさせることです。その結果、必ず従来とは違う高いパフォーマンスが得られるはずです。

II型=「稼ぎ頭タイプ」の特徴

II型は、既存事業の拡大や中小型商談に向いています。責任感が強くやる気に満ちあふれ、正しい方向性、戦術が見えているときは、そこに向けて突っ走る能力は非常に高いタイプです。ただ方向性を決めたり、ゼロから仕組みを作ったりする能力が弱く、自分の経験や思考の枠から出られないため、残念ながらこのままではビジネスリーダーに向きません。マネジャーになった途端、ミーティングが長くなったり、管理帳票が多くなったりするのが、このタイプの特徴です。

II型の活用方法

II型の集団作りを目指すのか、その中からI型への変革人材を輩出できるか否かで、企業の将来性に大きな差を生み出します。会社としてやるべきことは、I型とII型の違いを明確にし、自己否定、過去否定してでも、目指すゴールをII型からI型のビジネスリーダーに変革させることです。

一番効果を出しやすいのは、I型のボスの下につけ、日々の行動・思考パターンの違いを認識し、自ら変わる意識を持たせることです。

III型=「評論家タイプ」の特徴

III型は一見、企画力も発想力も豊かに見えますが、絵に描いた餅に終わるケースがほとんどです。なぜなら成果に対する執着心が薄く、行動力、実行力が伴わないからです。本人はやればできると思っていますが、世の中はそんなに甘くありません。アウトプットは全然出ていないのに、行動量も上げないで企業に居座り続けられる図太い神経の持ち主です。しょっちゅう喫煙ルームや喫茶店で世間話や趣味の話に興じているのがこのタイプです。

家柄がよかったり、有名大学出身者、MBA(経営学修士)ホルダーだったりするのもIII型の特徴の1つです。勉強ができ、情報収集能力も高いが、いつも理想の話ばかりをし、納期や結果に対しての責任感がありません。I型が新規ビジネスや改革案などを語っているときに、過去のデータや事例から、できない理由や懸念材料などを持ち出し、盛り上がりに水を差すのもIII型の特徴です。

III型の活用方法

このタイプは、一見やりそうに見えますが、あまり期待してはいけません。可能性は持っていますので、よほど強い刺激を受け、“死にものぐるいでやるぞ”とマインドセットされるか、本当に生活自体が追い込まれれば、結果が出る場合もあります。

IV型=「足手まといタイプ」の特徴

IV型は、はっきりいってビジネスに向きません。本人は一生懸命やっているつもりですが、結果的に社内外に迷惑をかけ、ダメージが広がるばかりです。また時間・情報・人・物・カネといった貴重な会社のリソースを食いつぶします。最悪の場合、企業ブランド、製品・サービスなどのイメージまで悪くすることがあります。

IV型の活用方法

音痴にレッスンをしても歌手にはなれません。このタイプを採用し、教育やOJTで育てるのは、莫大な時間やお金、労力を要し、かなりのリスクを伴います。社内に存在する場合は、できるだけ顧客接点を避け、ルーティーン作業をやらせる方が無難です。

以上、各タイプのビジネスの特徴や活用方法は理解いただけましたか?

ここからは、企業の中で最も大事なポイントとなる、I型とII型の違いを3つのケーススタディで解説していきましょう。あなたは「超一流」と「一流」どちらを目指しますか?

ケーススタディ1:「できるだけ高く跳ぶように」と言われた場合

・II型のアクション

II型は、何度も、何度もその場でジャンプし続けます。そして、どうしたら高く跳べるようになるかを考えた結果、脚力を鍛え始めます。スポースクラブにまで通いますが、結果は、せいぜい10~20%アップが限界です。ある到達点までくると、いくら鍛えても投入しているパワーに対して生産性は上がらず、キープするのがやっとの状態になります。残念ながら、自分の体力に限りがあることにまで考えが及ばないのです。

・I型のアクション

一方、I型は自分の力だけでできることの限界を知っている人です。高く跳ぶためにいくら体を鍛えたところで、たかがしれている。それならばと、ジャンプ台やトランポリン、棒高跳びの棒などの道具を用意します。当然、自力に比べ圧倒的な生産性を生み出します。基礎体力を鍛えることも大事なことですが、さらに生かす武器を考えられることが特徴です。

ケース1のポイント

目的は高く跳ぶこと。自力にとらわれず、さらに高く跳ぶための方法を考える。

ケーススタディ2:「ここにある木を切ってください」と言われた場合(のこぎりが始めから用意されています)

・II型のアクション

「のこぎりでどうしたら早く切れるか、きれいに切れるのか」に異様な執念を燃やします。自分の木を切るスピードやその切り口のきれいさに美学を感じ、夢中になります。のこぎりの刃を研ぐことまでは思考しますが、それが限界です。木の切り方やのこぎりの刃の研ぎ方、基礎体力や持久力の増強に、ひたすら時間をかけ続けてしまいます。

・I型のアクション

「準備されたのこぎりよりもっと効率よく切れる道具はないか?」とゼロベースで思考します。そこでチェーンソーを思い浮かべ、探し出してきます。自分でその効果を確認すると、切るのは人に任せ、さらにより良いチェーンソーを探しに行きます。自分が切らなくても、誰もが早くきれいに切れる環境づくりに、しっかり自分の時間を使います。

ここまでのまとめ

II型はルールやレールを用意してさえあげれば、何も疑わずに、それに真面目に従う、勤労勤勉タイプです。

たとえば、交差点で「渡るのはどんな時、止まるのはどんな時?」とたずねると、II型は「渡るのは青の時、止まるのは赤の時」と世の中の常識を答えます。

それに対し、I型は「渡るのは安全な時、止まるのは危険な時」と、もっと本質的な普遍の原理、原則を答えます。

ただ、II型は元来優秀な人ですから、言えば分かります。ただそのときは気付いても、またしばらくすると、元のレールに戻ってしまいます。思考にはクセがあって、意識し続けていないと、なかなかその習慣を変えられないのです。

II型の刃を研いでキレイに木を切る人が一流人材なら、I型の良いチェーンソーを探し出し、メンバーに最適な環境を与えられるのが超一流、ダントツ人財なのです。

ケース2のポイント

目的は、木を切ること。のこぎり(常識やルール)にとらわれず、もっと早くきれいに切る方法をゼロベースで考えること。

ケーススタディ3:「2キロ先の目的地にできるだけ早く行ってください」と言われた場合

・II型のアクション

II型は裸足のまま、とにかく一目散にかけていきます。彼らにとって、「行け」と言われた時点から、少しでも目的地に近付いていることが美学なのです。

II型裸足の美学

・I型のアクション

I型は走り出す前に、まず思考します。達成すべきは、2キロ先の地点にいち早く着くこと。そのためにはどうしたらよいか知恵を絞り、そこで思いついたローラースケートをはいて、走り出します。

I型武装の美学

ここまではケース1、2と同様、個人レベルの話ですので、説明はこれぐらいにしておきます。では彼らがリーダーになったとき、そのチームはどうなるでしょうか?

・II型(裸足の美学)が率いる一流チーム

II型は、ひたすら基礎体力を鍛え続け、走るフォームを指導します。なぜなら、II型はそれこそが早く目的地に着くために必要不可決なことだと信じて疑わないからです。毎日、朝から、「俺の筋肉を見てみろ。どうして俺にできるのに、お前にはできないんだ」と、部下に腕立て、腹筋の仕方を熱心に指導します。また手の振り方や足の運び方、呼吸法までプロ意識を強く持ちます。しかし、そればかりに注力するあまり、結果としてII型が率いるチーム全員は、裸足で走ることから永遠に抜け出せず、ラットスパイラルに入ってしまうのです。

・I型(武装の美学)が率いる超一流チーム

I型はメンバーにもローラースケートを使用するように指導します。これなら基礎体力の低いメンバーでも、裸足で走るよりはるかに早く目的地に着けます。そこで気力、知力、体力を早く回復させ、余裕が生まれた段階で、次のアクションに移ります。リーダーが「次は自転車で行こうか?」とステップアップすると、コツをつかんだメンバーからは「次はバイクにしませんか?」「自動車にしませんか?」と、自然と次なる提案が上がってきます。まさに組織が学習する自家発電チームです。

結果、II型率いる裸足のチームを尻目に、I型率いるメンバー全員が、自動車に乗り込み、スイスイと移動するようになるのです。

自動車に乗り込み、スイスイと移動

マネジメントのまとめ

スタートは同じでもI型超一流チームは、ローラースケートから自転車、バイク、自動車と進化していき、II型一流チームは、いつまで経っても裸足のままです。トップに立つ視点の違いで、気が付けば決して追い付けないほどの大きな差となってしまうことが多々起こってしまうのです。

ビジネスは長丁場。時が経てば経つほど、このマネジメントの差が、企業の業績の差として表面化してくるのです。

ケース3のポイント

目的はゴールに早く着くこと。自分やメンバーの体力が限界に気づき、皆で知恵を絞り、進化させること。

いかがでしょうか。自己認識、他者認識は出来ましたか?また、あなたのマネジメントスタイルはどうでしたか?

きっと、将来の自分やメンバーの目指す方向性が見えてきたことと思います。

次回は、今、企業にとって最も重要なテーマである、「最強の組織作り」について解説します。